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木曜日, 1月 17, 2008

アートと科学のフシギな関係(今週のサイエンスZERO)

NHKのサイエンスZEROが好きで良く観ています。

"アートと科学のフシギな関係"と題した今回のテーマ。面白かったです。

植物って表面に微弱な電気が流れているそうで、ヒトが近付いたりするとその電圧が微妙に変化するそうなんです。
その電圧変化を音に変えるというアート。植物学者と作曲家のコラボです。
人の動きで植物が反応する。その反応を人が聴く。人によってその音は千差万別。これ、もはや植物とヒトとの会話です。なんだか愛着がわきますよね。

鉄板に砂を乗せ、その鉄板をこする。
そうすると砂がみるみるうちに図形に変わっていきます。
鉄板のこすり方やこする場所によって、特定の周波数で鉄板が振動し、それに応じて規則的に砂が鉄板の上を跳ね、アートが生まれてきます。(クラドニ図形と呼ばれるものですが、それをアートにまで進化させた。)
彫刻家の男性のアートなのですが、彼曰く、"観察する"ということがテーマだそうです。
ふーむ、作品なので"作る"行為ではあるんですが、実際には作っているのではなくて、普段は目に見えてこない自然法則を浮き彫りにする作業をしている、ということなんでしょうか。だとすると、モノとヒト、もう少しいうと自然(物理現象)とヒトとの対話、とも言えるかもしれません。

ある数式を元にコンピュータに図を描かせている時に、偶然発見したというダイナミックな図形。
パラメータをちょっと変えることでうまれた、非線形で有機的な図形。
まさにカオスが生み出されるそのさまが表現されたものとのこと。

アーティスト本人も言っていますが、まさに自分の引き出しの外側のものが生み出されたとのこと。
これがきっかけでカオスの科学者とその共同研究をやることになったそうです。
このように、アートと科学というのは最前線では非常に親密な関係なんですね。


そして最後に、近い将来に待っているかも知れない遺伝子技術の進化によって生まれた新たな生命体と、それに伴い変化する"家族"をテーマにしたアート。
人にもブタにも見える生命体(母親)が、自分の赤ん坊たちに乳をやっている姿の造形。
その母親は、優しい目で赤ん坊たちを見守っています。
倫理的な問題が山積する分野ではありますが、良し悪しの議論がテーマではなく、生命体を生み出す人間がもつ責任とは、また、何が"自然"なのかについて問いかけるアートです。


科学の世界(閉じた世界?)、それをアーティストという翻訳家がわれわれにわかり易く体験させてくれる。
身近であるなしにかかわらず、見えないもの、気付かないものを可視化することで、たくさんの新しい発見につながります。そしてその発見は、何気ない日常生活を新しい視点で見るきっかけを提供してくれます。

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